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鳥インフルエンザで東アジア地域シンポジウム 渡り鳥サーベイランスで各国協力の重要性を共有

2017.10.05発行
 農林水産省は9月20日、東京都千代田区の霞が関プラザホールで第7回「口蹄疫および高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)防疫に関する日中韓等東アジア地域シンポジウム」を開き、各国の研究者や行政担当者ら約120人が出席し、疾病の発生状況や有効な対策などについて情報交換した。
 HPAIについては、日本の農研機構動物衛生研究部門の西藤岳彦越境性感染症研究領域長が「HPAIの感染拡大と野鳥の関与」をテーマに基調講演し、韓国農林畜産食品部動物衛生政策局口蹄疫・大動物管理課のパク・ソンデ獣医官、中国農業科学院ハルピン獣医研究所のシー・ジャンゾン准教授、モンゴル国立獣医研究所のナンサルマー・ミャグマー越境性動物疾病診断・サーベイランスユニット長、日本の農林水産省・動物衛生課の菊池栄作課長補佐が、それぞれの地域の現状などについて説明した後、出席者らでパネルディスカッションした。

HPAIの感染拡大と野鳥の関与

 各講演のうち西藤氏は、日本で2004年以降に発生したHPAIの概要や、昨冬から今春にかけての野鳥と家禽での発生事例などを紹介したうえで、動物衛生研究部門がある茨城県での研究成果を解説。
 同県では昨冬、家禽での発生がなかった一方、野鳥での確認件数が全国で最も多かったことから、西藤氏らは県中央部の千波湖周辺や県南部の北浦周辺などの渡り鳥から採取したH5N6亜型HPAI62サンプルの遺伝子を解析し、この結果を基に伝播経路を推定する「系統地理学的解析」を実施。解析結果を系統樹や動画で解説した。
 それによると、ウイルスはほぼ地域ごとに7つのグループに分けられたことから、少なくとも7つの異なるウイルスが、各地域に別々に侵入したと推定されたが、千波湖で見つかったウイルス1サンプルは、約40キロメートル離れた県南部に伝播したとみられることが分かったとのこと。このような距離で伝播した理由について西藤氏は「おそらく、この距離の間での野鳥の移動ではないかと考えている」と述べた。
 さらに、これらのH5N6亜型HPAIウイルスと、ウイルスバンクや国内の家禽から集めた同型のウイルスなども合わせて、地球規模のウイルスの伝播経路を推定する系統地理学的解析を実施したものの、世界各国の研究者が「欧州、北米、アジアの渡り鳥が営巣するためウイルスの拡散につながっている」と想定しているロシアのシベリアでの研究調査報告がきわめて少ないため、現実的なウイルスの伝播経路を浮き彫りにするまでには至らなかったと報告。
 ただ、シベリアでの調査の重要性を示唆する、これらの研究成果などをもとに、近年はロシア科学基金と日本の農水省が共同研究のファンドを立ち上げ、動物衛生研究部門とノボシビルスク大学の共同研究プロジェクトが始まったことも紹介。 ロシアとの共同研究の内容については質疑応答の中で、まず同国沿岸の極東地域で、春から秋にかけて集めた数百サンプルを分析するほか、来年以降はサンプル採取時に捕獲した渡り鳥にGPS装置を取り付け、飛行経路を把握する試験などを実施できれば――と述べた。
 家禽で発生したH5N6亜型ウイルスの遺伝子解析では、宮崎と新潟(2例)、北海道、青森(2例)、岐阜、千葉、宮城で採取されたウイルスは、中国で昨年流行していたウイルスに直接由来していることが分かったものの、夏を挟んでいるため、やはりシベリアを経由した可能性なども考えられるとのこと。同様に熊本、佐賀で採取されたウイルスは韓国からモンゴルやロシアまで遡れ、欧米で流行したウイルスともよく似ているものの、その間にシベリアの営巣地などを介している可能性があることなどを解説した。
 これらの研究成果から、「近隣諸国の渡り鳥の飛行経路を分析・把握することが、東アジア地域におけるHPAIウイルスの移動メカニズムの理解を深めることにつながる」と述べた。

韓国のAI防疫体制

 パク氏は、同国の近年のAI発生状況や、発生事例の疫学調査の結果を紹介し、防疫体制を説明。
 同国では、2003年から11年までの殺処分羽数が約2480万羽に上り、昨年以降も養鶏場が多い同国西部でAIが多発。日本の農水省のまとめでは、昨年11月から今年5月12日までの殺処分羽数は約3787万羽、さらに今年6月の発生件数は36件と報告されている。
 今年6月の発生事例の感染経路については、疫学調査の結果、感染鶏(烏骨鶏)が「生鳥市場から各地の養鶏場に運ばれて、交差感染が起こり、さらに市場を介して感染を広げていった」ほか、「小農場には毎日の取引記録もなかった」ため、「疫学的な調査が非常に難しかった」と説明した。
 生鳥市場の禁止などについては「非常に重要であることは分かっている。ただ、韓国の文化でもあり、取り締まりは非常に難しい。生産者団体とも協議を重ね、生鳥の管理について話し合っている」中で、生鳥取引の禁止に向けた動きを一歩一歩進めているとした。
 発生時の防疫体制については、発生農場から半径500メートルの家禽をすべて殺処分していることなどを説明した。

中国ではH5+H7AIワクチンも導入

 シー氏は、中国には採卵鶏と種鶏が約40〜50億羽、ブロイラーが約80億羽、アヒルなどの水禽類が約40億羽、合わせて約200億羽の家禽がいることに加え、水禽類と、地鶏の黄鶏はほとんど野外で飼われているため、「中国の家禽は、AIに簡単に感染してしまう状況下にある」と説明。
 これらの家禽は生鳥市場で随時取引され、「生鳥市場そのものがAIウイルスの源になりうる」など、「撲滅が非常に難しい」中で、「AIコントロールのために多大な努力をしている」とした。
 同国ではH5亜型のHPAIウイルスが昨年は7省、今年は4省、H7N9亜型のHPAIウイルスは今年5月以降、8省の採卵鶏農場で発生が報告され、2013年3月以降は生鳥市場などを介した人への感染も相次いで報告されている。
 人に感染したH7N9亜型ウイルスの遺伝子解析では、同ウイルスが人への伝染性を持つウイルスに変異していることが分かったと報告。さらに、今年分析したH7N9亜型ウイルスは、家禽に強力な伝染性を持つウイルスに変異していることも分かったとのこと。
 使用しているAIワクチンについては、「常に改良している。ワクチン製造に使うウイルスは、リバースジェネティクス法(様々な変異株を人工的に作出できる技術)で作出した。これまでに2000億ドーズ以上のワクチンが中国、ベトナム、インドネシア、エジプトなどの家禽に接種されている(編集部注…このうち9割は中国によるものとみられる。米国立家禽研究センターのデイビッド・スウェイン所長が『中国が02年から10年までに使ったワクチンの量は、世界でHPAIに対処するため使われた1000億ドーズを超えるワクチンの90.9%を占めている』と述べたことが昨年中国で開かれた『第25回世界家禽会議(WPC)』での中国人研究者の発表内容にも引用されている)」とし、ワクチンの製造方法を詳しく解説。
 最近の開発状況については「ワクチン使用を促進するため、H5+H7の二価不活化ワクチンを作製した。H5亜型とH7亜型の双方に効力を持つもので、フィールドテストでは、ブロイラー、肉用アヒル・ガチョウ、種ガチョウを含むすべての鳥について完全に防護できることが分かった。このほど家禽への使用が承認され、これを用いたAIコントロールが今月(9月)からできるようになった」と述べた。
     ◇
 HPAIについてのパネルディスカッションでは、前日に開いた疾病別の日中韓ワーキンググループで@情報や検査材料などの共有ネットワークの構築A国境対策における協力B野鳥を介したAIウイルスのモニタリングにおける協力C農場のウイルス侵入に関する調査――などを取り組み課題として共有したことを報告。
 各国の出席者が自国の課題について情報提供し、「渡り鳥が伝播に関与していることが、HPAIへの対応を難しくしている」ことから、「野鳥のサーベイランスと渡りのルートの把握を、各国で協力して進め、情報を共有していくことの重要性」について出席者の間で一致がみられた。

【各国の家畜疾病研究者や行政関係者ら約120人が出席した】



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